UKで働く外国人医師の数

EUで2004年に法改正がなされ、域内で卒業した医師は再試験なしでEU内のどこでも医療が行えることになった。UKでは20000人のEU出身医師が働いているがうち4000人は2004年の改正以後に来ているので英国での試験を受けていない。EU出身医師の内訳は東欧圏が多く、ポーランドが1800名、ハンガリーが1000名強、チェコが700名以上、ルーマニアが800名ほど。この間UK出身の医師は減っている(トレーニングを受けても他の国に行ってしまう)。この中には夜間や週末にバイトで来る医師も含まれているようだ。ドイツ出身の医師は3500名いるが、そのうちの一人ダニエル・ウバニ医師はバイトの当直医師として来た最初の晩に処方を間違って年金生活者を死なせてしまった。Diamorphineの過剰投与でデビット・グレイ(70)が死亡したのは、この薬がドイツでは家庭医によりほとんど処方されず、ウバニ医師が適正投与量を良く知らなかったからである。外国出身の医師が母国で何かヘマをやらかしていても、UKでの勤務に際してそれを開示しなければいけないという規制はないのだ。EU圏外からの医師は60000人いるが彼らはUKで改めて資格試験を受けている。UKで働く医師の10名に1人は他の欧州の国でトレーニングを受けているという。2005年には15名、2009年には30名のEU出身医師がUKでの医療行為を禁じられている。UKでプライマリーケアを提供するトラストの3つに1つは夜間や週末に勤務したがる医師がいないため外国からバイトにくる医師を受け入れている。バイト医師の給与は時給100ポンドで、あるトラストでは9名のポーランドの医師と2名のドイツの医師に年間267000ポンド支払った。他にも外国人医師の手術が失敗して再手術しなければならなくなったケースがある。
http://www.telegraph.co.uk/health/healthnews/6142241/Fears-over-safety-of-foreign-doctors.html
上の記事から推察するにUKの外国人医師は少なくとも80000人いる。これだけの医師を教育し基礎トレーニングするコストを外国に負担してもらって、これを輸入しているわけだ。外国人医師を責める前になぜ自国出身の医師が夜間や週末に勤務しなくなったのか問う必要があるのでは?すべてを経済的合理性で割り切ろうとすると無理が生じる。「同胞に対する愛や献身に支えられているべきものを金に置き換えると異常に高くつく」ということを証明しようとしているのではないか?UK人はシステムを自ら変えてみて、うまくいかなければまた変える、ということを自らの責任で行うという考えなのだろう。医療政策の失敗(したかどうかは自らかみしめつつ)のつけも自ら払う用意があるのだろう。