膵島をつくるRFX6

転写因子のregulatory factor X (RFX)はwinged helixタイプのDNA結合ドメインを持ち、RFX1−7が知られている。RFX6は膵臓に特異的に発現し、RFX7は脳を中心に多くの組織にひろく発現する。(Aftab S, Semence L, Chu JS, Chen N. BMC Evol Biol 2008;8:226)
膵島は一部再生することが知られていて膵管の一部がインスリン分泌タイプの細胞へと分化していく。膵臓ができるときにも消化管からわかれた管が枝分かれをしてその一部から膵島ができてくる。ホルモンを産生する細胞はインスリンを分泌するβ細胞の他にグルカゴンをつくるα細胞、ソマトスタチンをつくるδ細胞、pancreatic polypeptide (PP)をつくる細胞などある。これらができてくるときにはNeurogenin3(Neurog3)、HNF3β、Pdx-1などの転写因子が協調して働いている。RFX6を欠損させたマウスではPPをつくる細胞以外の全てができなくなった。ヒトでも生後すぐに糖尿病を呈する遺伝疾患の患者でRFX6の変異が見つかった。
Smith SB, Qu HQ, eta l. Rfx6 directs islet formation and insulin production in mice and humans. Nature 2010; 463: 775-80
Natureを定期的にフォローしていないのでNEJMの記事で初めて気付いた。