骨代謝

副甲状腺ホルモンは骨からカルシウムを遊離させて血清カルシウム濃度をあげる。この生物活性のある1-34部分を持つ1-84のPTHをintact PTHと呼んでいる。実は intact PTHの測定キットはN末端の一部の欠けた7-84も同時に測定されてしまうため1-4抗体を用いた測定がもっとも正確。正常では10-65pg/mlである。原発副甲状腺機能亢進症では概ね60pg/ml以上になる。透析患者では骨芽細胞が反応しにくくなるのでintact PTHとして150-300pg/mlが推奨される。原発副甲状腺機能亢進症では血清カルシウム(正常8.5-10.3mg/dl:低アルブミン血症の場合は[4-アルブミン値(g/dl)]をカルシウム値に足す)が上昇するため尿中カルシウム排泄(正常100-300mg/day)が増加する。この結果腎結石、尿管結石が増える。骨の破壊が進むと骨の架橋化コラーゲンの分解物(Ntx)が尿中に排泄される。この尿中Ntxは副甲状腺機能亢進症の際に摘出するかどうかの判断に役立つ。原発副甲状腺機能亢進症の高齢者9名の手術の結果Ntxは平均65nMBCE/mMCrから30-40に低下、同様の骨代謝マーカーであるデオキシピリジノリンは11nM/mMCrから6-8に低下、骨特異的アルカリホスファターゼは50IU/Lから20に低下。腰椎の骨密度は測定した11名のうち1年目まで追跡した10名で有意に上昇。5年目まで追跡した6名では継続して上昇した。Tamura Y, Araki A eta l. Remarkable increase in lumbar spine bone mineral density and amelioration in biochemical markers of bone turnober after parathyroidectomy in elderly patients with primary hyperparathyroidism: a 5-year follow-up study. J Bone Miner Metab 2007; 25:226-231