apoC3の多型と認知能力

Smith CE, Tucker KL et al. Apolipoprotein C3 polymorphisms, cognitive function and diabetes in Caribbean origin Hispanics. PLoS One 2009; 4(5):e5465
ボストン在住の45-74歳のカリブ系住民991名について認知症のテストを行い、血清脂質、血糖を測定した。アポリポタンパクC3(アポC3)の遺伝子多型m482と3u386を調べた。(遺伝子多型というのはDNA上の配列の違いで、直接機能に関係しないものも多いが、血液型のように遺伝するので何らかの遺伝的特性と関連している場合がある。記号はその型についた名前である。)apoC3はトリグリセリドリパーゼを阻害して血清中性脂肪を上げる作用がある。認知能力および脂質についての結果は糖尿病があるか否かで異なった。m482についてAA型で糖尿病の人はAGまたはGG型の人に比べて認知テストが悪かった。このAA型で糖尿病の人は血糖とコレステロールがAG/GG型に比べて高かった。3u386のGC/GG型で糖尿病の人はCC型の人に比べて血糖、コレステロール中性脂肪が高かった(以上いずれもP<0.05)。テストの結果が将来認知症になることを予測するかどうかまでは不明。しかし、脳のこまかい血管が詰まって微小な梗塞が多発することは糖尿病ではよくあり、程度が進むと認知症になる可能性は否定できない。