GLP-1のβ細胞保護作用

グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は小腸から分泌されて食後のインスリン分泌を増加させる作用がある。食後の血糖上昇を抑えるのに有効ですい臓のβ細胞を保護あるいは増殖させることが期待されている。注射のエキセナチドとリラグルチドのほか、GLP-1の分解を抑える薬としてシタグリプチンなど内服のDPPⅣ阻害薬がある。
Cornu M, Modi H et al. Glucagon-like peptide-1 increases beta-cell glucose competenceand proliferation by translational induction of insulin-like growth factor-1 receptor expression. 2010;285:10538-10545
GLP-1がすい臓のβ細胞を増殖させるメカニズムについての続報。インスリン様増殖因子2(IGF-2)をβ細胞自身に自己分泌させる。IGF-2はIGF-1受容体に結合して増殖を刺激できるが、GLP-1はIGF-1受容体の発現も増やすため、刺激役のIGF-2と受けての側のIGF-1受容体をともに増やす。この作用はサイクリックAMP(cAMP)の増加によるAキナーゼの活性化が媒介している。
とまあ基礎的な研究は進んでいるのだが、実際にインスリン注射が必要なくらい悪化した糖尿病がGLP-1をしばらく注射すればインスリンもいらないくらいによくなるのか?というとおそらく×だろう。なるべく初期の糖尿病に使用して悪化を防ぐというのが実際的なところだろう。