脂肪肝とアポC3の変異

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)はインスリンが効きにくく、肝臓に脂肪がたまる。その一部は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)になり、最終的には肝硬変まで至る。インド人ではNAFLDが多いことが知られている。高中性脂肪血症と関連が報告されているアポリポタンパクC3の変異を調べるとC-482T、T-455Cが多く認められた。これらの変異があるとアポC3の血中濃度が30%高くなるが、中性脂肪の除去率が46%低下する。これらの変異のある人ではNAFLDは38%に認めたが、どちらの変異もない人では0%だったNAFLDの人ではインスリンが効きにくい状態(インスリン抵抗性)になっていた。
Petersen KF, Dufour S. et al. Apolipoprotein C3 gene variants in nonalcoholic fatty liver disease. New Eng J Med 2010;362:1082-1089
*どちらの変異も遺伝子の発現調節を行う領域にあるはずなのでアポC3の量が増えるのはありうる。脂肪のクリアランスが遅れるのはアポC3がリポタンパクリパーゼを阻害して脂肪酸の組織への取り込みを阻害するから(上のアポC3と認知能力を参照)。