体重を落として血圧が下がると首の動脈硬化が減る

食事介入によって頚動脈の内膜肥厚(動脈硬化の指標)が減少するか検討した。Dietary Intervention Randomized Controlled Trial-Carotid(DIRECT-Carotid)研究によると、平均51歳で平均BMIが30の肥満した人(88%が男性)に2年間食事指導を行い体重減少と頚動脈の壁の厚さ、および体積(vessel wall volume VWV)を測定した。2年間でVWVは平均で5%有意に減少した。内膜の厚さの変化は-1.1%で有意差に達しなかった。VWVの減少した人は増加した人に比べて体重減少が大きく(-5.3kg対-3.2kg)、収縮期の血圧減少が大きく(-6.8対-1.1mmHg)、血中ホモシステイン動脈硬化を悪化させる物質、葉酸をとることで減少する)が減少し(-0.06対+1.44μmol/L)、アポリポタンパクA1(善玉コレステロールのHDLの量を反映)が増加した(+0.05対0g/L)。多変量解析では血圧の変化のみが有意であった。つまり、5kgほど体重を落とすと主として血圧減少効果によってわずかだが確かに動脈硬化が減る。
Shai I, Spence JD et al. Circulation,2010;121:1200-1208