がん細胞が表面の手がかりを脱ぎ捨てる

MHC class I related molecule A(MICA)は腫瘍細胞の表面に発現していて、これがNKGD2に結合するとナチュラルキラー細胞(NK細胞)とT細胞の抗腫瘍免疫を活性化する。MICAは腫瘍細胞の表面から放出される。これは腫瘍の転移に一役買っているかもしれない。つまり、NK細胞にひっかかる表面の手がかりを切り落として逃げ続けるわけだ。膜タイプのマトリックスメタロプロテイナーゼ14(MMP14)は細胞外基質を分解する金属原子を持つタンパク分解酵素の一つだが、これがMICAの放出(shedding)に関係している。MMP14をうまく阻害することができればNK細胞による腫瘍細胞の攻撃を効率化できる可能性がある。
Liu G, Atteridge CL et al. The memebrane type matrix metalloproteinase MMP14 mediates constitutive shedding of MHC class I chain-related molecule A independent of a disintegrin and metalloproteinases. J immunol 2010;184:3346-3350