ヒストンアセチル化と炎症

Grabiec AM, Krausz S et al. Histone deacetylase inhibitors suppress inflammatory activation of rheumatoid arthritis atient synovial macrophages and tissue. J Immunol 2010;184:2718-2728
ヒストンのアセチル化はクロモゾームの構造を緩めて転写を活性化する。逆にヒストンの脱アセチル化酵素(HDAC)は転写を抑制する。HDACの阻害薬(HDACi)は動物実験では炎症を阻害する。しかし喘息、慢性閉塞性肺疾患、リウマチ性関節炎(RA)などの慢性炎症性疾患の患者ではマクロファージのHDAC活性はもともと低下しており、このことが発病に関係している可能性が否定できない。このためHDACiは患者への使用がためらわれている。この論文ではRA患者から得たマクロファージにHDACiを作用させて炎症性サイトカインの放出を調べている。HDACにはクラスⅠ、ⅡとクラスⅢのsirtuinがあるがいずれの阻害薬もマクロファージからのIL-6、TNF-αの産生を抑制した。HDACiのトリコスタチンAとニコチナマイドはマクロファージのアポトーシスを誘導し、これは抗アポトーシス分子のBfl-1/A1の発現低下によるらしい。RAの患者の関節マクロファージからの血管新生誘導性のサイトカインの産生もHDACiで抑制された。
これは私の解釈だが、ニコチナマイドはニコチン酸の誘導体なので極端に言えばビタミンの豊富ないい食事を工夫すれば炎症を抑える生活習慣が可能かもしれない。