糖鎖修飾の異常によるタンパク発現の停止:Usher症候群の例

Isosomppi J, Västinsalo H et al. Disease-causing mutations in the CLRN1 gene alter normal CLRN1 protein trafficking to the plasma membrane. Mol Vis. 2009;15:1806-18.
Usher症候群は先天性の盲目と難聴を起こす疾患である。3タイプあるがそのうちタイプ3はclain1(CLRN1)の変異が原因である。アミノ酸配列から予想される構造はN末端が細胞内にある4個の膜貫通部位を持つタンパクで最初の大きな細胞外ループに糖化修飾部位がある。CLRN1の正確な機能は不明だが内耳の有毛細胞と網膜の細胞に発現して細胞膜上に特殊な領域をつくりリボンシナプスの形成に役立っている可能性がある。細胞骨格の変化をコントロールしているという説も有る。患者の遺伝子解析でA123D、N48K、Y176Xと新たな変異としてL54Pを発見した。N48は糖化シグナルに一致していて、N48K変異は糖鎖切断酵素処理により分子量が変化しないので糖修飾されていないことが判明した。正常CLRN1は細胞膜に輸送されるが、変異タンパクは小胞体にとどまった。変異CLRN1タンパクはまた新たなタンパク合成を止めるサイクロヘキシミド処理により急速に減少した。