寄生体

指導者様の右腕には寄生体が宿っていた。かつては字を書いたり食事を口に運んだりできた右手は変形して大きなナスのような形に腫れあがっていた。はたから見るとどうしようもなく痛々しい。張り詰めた皮膚が今にも裂けて血が噴き出してきそうで不気味だ。当然ながらこの寄生体に過大な栄養を吸われて指導者様はやつれていた。しかし腹だけはぽっこりと突き出し落ちくぼんだ眼窩のそこには血走った目がランランと輝いている。なんでも腕がここまで成長する前に治療を進言した叔父に右手の指の一つが暴発して対戦車砲のようにさく裂し粉々にしたのだとか。腕の寄生体は着々と次の寄生先を狙っており海を越えた大陸まで到達できる火力を蓄え続けている。その燃料を蓄えるため指導者様のおなかは日々成長を続けている。(以上は創作であり実在の国家とは関係ありません)