袋の中に見たもの

「それで何を見たんだい?」
「あまり思い出したくないんですが、言わないといけませんでしょうか?」
「今後の捜査体制に差し支えるじゃないか。言ってくれ。」
「マネキンの首です。美容師が練習に使うような。」
「まあ、かさばるが持ち歩いてもおかしくないと言えなくもないな。」
「それがただのマネキンじゃないんです。」
「どこが?」
「顔が私にそっくりに作られていて、首のところが切り取られたように血の色でリアルに塗られていたんです。」
「何ッ?」
「それって犯罪じゃないですよね?」
「そうなるな。」
「でも、魔術でもない限り、事前に私の顔のディティールとか、細かく調べて、当日の私の配属場所と時間をピンポイントで特定して狙って仕掛けたってことじゃないですか。」