派閥抗争

高橋是清自伝下を見ると正金銀行時代に日銀の派閥抗争を何とかしようと骨を折った話が出てくる。何とか穏便にまとめようとするのだがそこはそれ登場人物がみな「我こそは」と思っているので容易に引かない。介入むなしく争っていた一派が辞表を提出することで終わるのだが、このころから派閥抗争は世間の病弊となっていたわけだ。日銀の前にも正金銀行内での派閥争いが行内の伝統的な事務手法を秘伝にして新参者に教えないという姑息な方法をとっているのを解消させオープンにさせる話が出てくる。これなど相当人物の力がないとできないだろうな。伝統こそ至上、当たり前のものと思い込んで自分らを守るための道具にしている人は容易に改革を認めないものだ。

高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫)

高橋是清自伝 (下巻) (中公文庫)