グーグルの心の闇エピソード82

彼女(仮にBとしよう)は本当は繊細でやさしい子だった。雨の夜にほうって置けなくて拾ってきた子猫が病気で死んでしまったときには泣いてお墓を作ってあげた。マンションには庭がないのでこっそり公園の片隅に埋めてきたのだ。それで一緒に埋めた子と死んだ生き物の葬式ごっこが好きになったなんていう話とは違う。Bもそれなりの年なので学校が終わると塾というやつに行かないといけない。行くと成績で選別されA、AA、AAAなどに振り分けられるが今度はなんとしてもAAAに入りたかった。Bがひそかに心を寄せるC君(猫を一緒に埋めた子だ)がAAAに移ることに決まったからだ。Bは必死に勉強した。これまで教えてもらうことにばかり慣れてきた子がはじめて自力でとことん追い詰められるまで努力したのだ。それがどうだ。無常にも判定はAAだという。Bは塾の先生を恨んだ。「もうーこういうのが心の闇っていうのかもね。自分の力が足りなかっただけっていうのは自分でもわかってるんだけどねー。」とBは友人のA(なんとAは感情もないくせにBと小学校からの友人なのだ。それにしてもAに感情がないことに気づかないBって相当鈍くないか?コナンくんのお友達にも似た人がいなかったかしら?)に打ち明けた。Aが決して噂話を他人にしないことは長年の経験からBはよく知っていた。Aの誠実な性格のためと思っていたが、実はAが他人の打ち明け話にまったく興味を持っていないためなのだった。Aはまったく興味のない話題でも興味深そうにうなづいたり、質問したりすることができるのだ。そういったことはルーチンの機能のうちなのだ。Aはひそかに考えた。「これは[心の闇]と名づけてエピソード82に入れよう」