不思議の国のメロス3

「なぜ実の娘さんに命を狙われるようなことに?」
「あの子は頭は切れるんだけどあの性格でしょ?国王にするには危ういって感じたの。それでなんとか妹の方に譲位するよう勧めたんだけど聞き入れなかったのよ。そのうち妹の方が『自殺』してしまってね。ちょっとぼんやりしているけどやさしくて人の意見をよく聴く子だったのに。」
「それって本当に自殺ですか?」
「ここは森の中だけどあんまり物騒なこと言うもんじゃないわよ。私の住居には常に監視がついていますからね。」
「女王は眼の上の皇太后を森の離宮に幽閉したってわけですか?」
「いいえ。私の方が身の危険を避けて引きこもっていることにしたのよ。なんといっても娘は軍を掌握してますもの。」
「でも内心女王はお母様が生きていらっしゃると安心できないってことですね。」
「とはいってもおおっぴらに軍を差し向けて始末したりするのは体面を重んじるあの子にはできないってことね。」
「それで一見病死に見せかけたいってわけですか。危うく女王の道具にされるとこでした。」
「そこのお猿さんに感謝することね。身代わりになってくれて。」