ダークな話2

「昔々あるところにおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは心臓が悪くだんだん弱って食べられなくなりました。おばあさんはおかゆを作って食べさせていましたが、やっと茶碗の半分食べられるかどうかです。」
「おじいさんは言いました『ああ、もう俺も長くないよ。お前にこんな苦労させるくらいなら、早く死んだ方がましだ。』おばあさんは言い返します。『何をいってるんですか。これまでさんざん苦労させておいて。動けなくなって私の目の前にずっと寝ていてくれるだけでどんだけ楽か。ほれ、つべこべ言わんと早く食べなはれ。』」
「おじいさんは守護天使に願をかけました。『いっそ小鳥にでもなって飛んでいけるようにしてくれまいか?』この願いは守護天使にとどきました。おじいさんは日に日にやせ衰え、骨も細く小さくなっていきました。髪の毛は抜けあとから白い羽が生えてきました。おばあさんは『なんと面妖なことよ。』といぶかりました。」
「一週間もするとおじいさんの姿は羽を半分むしったニワトリにそっくりになってきました。顔にまだ人間の面影が残っているくらいです。おばあさんはいいました『なんですかあんた。この期に及んでまた私を置いて飛んで行こうっていう魂胆ですか?いいかげんにせんと猫に食べさせますぞ。』」