嘘っぱち観音

「どうです、この観音様なかなか味わいのある表情をされているでしょう?」
「そういえば仏様の頬笑みにしてはずっと人間らしいというか、どこかにちょっと毒があるというか…」
「これはですね、江戸時代に有名な左官職人の磯谷鷽八が当家の依頼でつくったものなんですよ。」
「へえーなかなか由緒あるんですね。でも仏様だからどなたかお坊さんか仏師の作かと思いました。」
「それだとこんなに味のある顔できないと思いますよ。」
「何か御利益があるんですか?」
「ウソをついても許してくれるっていうんで『嘘っぱち観音』って呼ばれてましてね。ひそかに政界の方も拝みに来てらっしゃるらしいです。」