古代のDNAを求めて

化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)

化石の分子生物学――生命進化の謎を解く (講談社現代新書)

ジュラシックパークを求めて地下610mの石炭坑道から採取した恐竜の骨からDNA断片をPCRで増幅した…と思いきや、配列をよくよく眺めると哺乳類の配列に最も似ていた。どうもヒトのDNAがコンタミしたらしい、という残念な結果。アミノ酸は生体ではL型しかないが死ぬと徐々にD-Lが混合したラセミ体に変化していく。ラセミ化の度合いを調べるとアスパラギン酸が最も早く、アスパラギン酸>アラニン>ロイシンという順番になる。ラセミ化の度合いを見るとエジプトのミイラよりシベリアのマンモスの方がラセミ化が少なく低温の効果が大きいことがわかる。アスパラギン酸のラセミ化が0.1を超えているとPCRでの増幅は望みがたく、もしできてもコンタミによる別のDNAを増幅している可能性が高いと。