KBB3

「マスター、エスプレッソのダブルを」
「いいですけど熱いですからクチバシだと飲みにくいかと思いますが?」
「いいんだよ。猫舌の教授だって飲んでるだろ?」
「あれ?お客さんシュレーディンガー教授の生徒さん?」
「まあ、そういうとこかな。」
「そういえば学生さんの中に優秀なんだけどそれを隠さないから煙たがられている子がいるって心配されてましたよ。」
「それって僕のこと?みんな僕のこと『上から目線』て陰口いってるみたいだけど。」
「いまじゃ『目立たないようにする』っていうのが処世術ですからね。あえて飛び出ようとすると目立つんじゃないですか?」
「しょうがないよね。僕たち猛禽類は上昇気流にのって上から獲物を探すのが仕事だもん。地上を歩いてたらこっちが食べられちゃうよ。」
「『能あるタカは爪をかくす』って教授がおっしゃってましたよ。」
「そりゃシュレちゃんは猫だから爪を隠せるかもしれないけど僕たちそんな芸当できないよ。」
「それですよ。教授のことを『シュレちゃん』とか呼んでいるようじゃ『母親をつれた子供』みたいですよ。」