立ち止まるより動け

「ウサギがこっちに向かってくるオオカミを見つけた。逃げようとすると巣穴のある右の方はキツネがいる。左の方は草原が続いていて走って振り切れないとつかまってしまう。どっちがいいと思う?」
「どっちもどっちだけど…」
「一番まずいのはどっちか決められないで立ち止まっていることで、そうすれば確実に食べられてしまうよね。」
「でもキツネもおっかないし、隠れるところのない広場で逃げ切れるかも不安。」
「やってみなくちゃわからないだろ?たまたまキツネが腹いっぱいかもしれないし、ウサギの肉は嫌いかもしれないし、お母さんから『ウサギだけは食べちゃダメよ』って言われてるかもしれないだろ?」
「じゃあ右がいいわけ?」
「左にいってもオオカミがたまたま腹が減りすぎて長く走れないかもしれないし、心臓病で医者に無理はいかんと言われているかもしれないし、このくらいの獲物に手間をかけのはめんどくさいと思うかもしれないだろ?」
「じゃあ左に行く。」
「どっちでもいいんだ。ただ行くからには必死でやるってことでね。」