群れない

Science 20 January 2012:
Vol. 335 no. 6066 pp. 276-277
DOI: 10.1126/science.335.6066.276-b
トゲウオの一種でカナダのパクストン湖の湖底に住む種類は海生の同類が群れをつくるのに対して孤独を好む。この行動がどの遺伝子によるのかを全ゲノム解析で調べた。行動特性を定量的に評価する必要があるため3匹のプラスチックの魚を水槽の中で泳がせ、これに同調して泳ぐ時間を評価した。この結果Edaという遺伝子が関係することがわかった。Edaはもともと側線と骨板をつくるのに関係する遺伝子として発見された。湖底のトゲウオはEdaの変異のため側線の感覚細胞が海生の2列ではなく1列しかない。トゲウオは淡水・海水両方に適応しているのでパクストン湖のトゲウオを海生のものと一緒に育てることができ、その逆も可能である。海生トゲウオ学校に入れられた湖産はやはり孤独を好み、湖底トゲウオ学校に入れられた海産トゲウオ君は仲間とつるみたがった。「教育・学習」によらない本能的な行動が解剖学的な構造を作る遺伝子に依存しているというのは意外である。
そのうち日本人と欧米人でEdaの相同遺伝子の解析をしようとか言い出すんじゃないだろうな?