暇つぶしのお話21

アモスとアリオリにはなかなか子供ができませんでした。アリオリは彼女を愛していましたが後継者が決まっていないと国内が動揺します。彼はついにアモスの侍女を事実上の第2夫人として受け入れることを承諾しました。」
後宮が始まるの?」
「アリオリの国では後宮制度はありませんでした。それが政治を乱すもとだと考えられていたからです。国内の大貴族の娘を王妃にしない不文律も大貴族の間のバランスをとるためでした。そのためわざわざオアスアのような小国から王妃を迎えたわけです。」
「なんかたいへんそう。」
「ところがアモスの侍女というのはキネントスの娘でした。アモス男児が生まれればただの侍女で終わってしまうポジションに娘をつけておくというのは彼の深謀の現れでした。」
「腹の底で『この田舎者』とか思っているとうまくいかないよね?」
「そこがよくしたものでやり手のおやじの娘にしては信じられないくらい素直ないい子で、アモスにもかわいがられていたのです。」
「キネントスの奥さんがいい人だったとか?」
「その侍女が懐妊すると『キネントスが侍女を通じて毒をもって王妃の懐妊を妨げたのではないか』という噂がどこからともなく流れました。」
「陰謀のにおいがするね!」