暇つぶしのお話17

「イマスカリの国のほうは御無沙汰だけどどうなったの?」
「山と森ばかりの半島からは木材を切りだして大きな船をつくりました。国民たちはそれで漁に出ました。だんだん遠くまで行けるようになりました。あるとき東の海に流された船が森に覆われた大きな島を見つけました。」
「冒険ぽくなってきたね。」
「壊れた船を森の木で直した漁師たちは本国にこの発見を持ち帰りました。」
「それで探検隊が出たとか?」
「そうですね。王様のイマスカリがいちばん乗り気で『自分が行く』といいはりました。」
「国の政治はどうするの?」
「王妃のアンに『しばらくやっといて』でおしまいです。」
「そんなのあり?」
「リチャード獅子心王だってそんなとこだろ?」
「なんかいいかげんね。」
「まあ国内に謀反を働くような大きな貴族もいない小さな国だからね。」
「冒険の結果財宝を持ち帰れたの?」
「例の島には狩猟生活をしている人たちがいましたが、インカやアステカみたいな金銀財宝はありませんでした。」
「なんかがっかりね。」
「その代わり砂鉄が見つかったので森の木を焼いて鉄器をつくりました。」
「森が裸にならないといいけど。」