暇つぶしのお話16

「”こんにちは、シノメ・キボコです。”
”南部の洪水もようやく峠を越してきた感じやね。”
”そうなんですわ。うちの妹も南部の村に嫁にいっとりましてな。”
”被害にあわはったんですか?”
”それが初めのうちは堤防がしっかりしてるから大丈夫、と安心しきってたんですね。”
”ふんふん。”
”先代のころに大きい洪水にあったんで立派な堤防で村をぐるりととりまいてたんですわ。”
”そら安心するわな。”
”それが今回のはじわじわと堤防の上まで上がってきて…”
”上がってきて…”
”とうとう堤防のうえからじょぼじょぼ流れ込んできたんですわ。”
”なんとも情けない眺めやね。”
”まあ1階のものを2階に避難させる暇はありましたけどな。”
”床上まで来たんですか?”
”1階がまるごと浸水しましたわ。”
”自然の力は人知をこえとりますなあ。”
”これでもう大丈夫と安心するなちゅうこうとですな。”
”でももう水はひいてきたんでしょ?”
”それが堤防の中は水がたまりっぱなし。”
”排水のための水門をつけてなかったの?”
”絶対大丈夫やっていうのでつけなかったんですわ。しょうがいないので堤防の一部を壊すのにまた一苦労。”
”そら災難でしたな。うちの娘もへんな虫がつかんようになるべく外に出さんようにしてますが絶対大丈夫ちゅうことはないかもしれまへんな。”」
「ゼウスさんとかガブリエルさんが来ちゃうかもね。」