免疫調節細胞たち

NKT細胞はがん免疫に重要な細胞だ。typeIとtypeIIがあってtypeIがやっつける方、typeIIが免疫を抑える方。脂質の一種をリガンドにしていてCD1dに捕捉されたαガラクトシルセラミドを認識するのがtypeI、CD1d+スルファチドを認識するのがtypeII。認識するためのTCRはtypeIIは種々だがtyoeIはV18αがないとTCRができず認識できない。放射線照射で殺したがん細胞を注射しておくとこれが抗原になってNKT細胞が刺激され2回目に生きたがん細胞を移植しても排除される。V18αがないとこの排除が効かない。typeIIのNKT細胞が活性化されているとがん細胞の排除が効かず移植したがんが増大してしまう。
同様に放射線照射で殺したがん細胞を皮下注射するとそこから流入するリンパ節でCD169陽性のマクロファージがこれを取り込んで抗原を提示する。ジフテリア毒素の受容体(DTR)を発現させた細胞はジフテリア毒素の注射で死滅するが、この方法を用いて特定の細胞を殺すことができる。CD169の遺伝子にDTRをノックインするとジフテリア毒素処理で一時的にCD169細胞が消滅する。この間に死んだがん細胞で免疫をしても免疫がつかない。抗原提示の重要な部分をCD169細胞が担っているようだ。CD169細胞はリンパ節の周辺とB細胞の濾胞とT細胞領域の境目のあたりに存在する。
大腸のパイエル板にあるCD11b+CD11c+細胞を詳しく見るとCX3CR3の発現が低、中、高に分かれる。中はIL17を誘導する。CX3CR3高の細胞は大腸の炎症を抑制する作用があり制御性のマクロファージMregと呼ぶことができる。T細胞が抗原を提示するDC細胞の周辺にむらがって活性化されるときにMregはより強力な接着分子の発現でT細胞をDC細胞に近づけず、かつT細胞の活性化に必要なCD80,CD86の発現が低いのでT細胞を不活性なままにとどめる。
制御性T細胞(Treg)は転写因子のFOXP3の作用でCD25を発現するが、一般のT細胞にFOXP3を強制発現させただけでは本物のTregとは発現する遺伝子のセットが異なる。heliosとEosの発現が少なくFOXP3以外の因子が考えられる。これにはDNAの低メチル化が関係していて、メチル化シトシン特異抗体で免疫沈降したDNA断片をメガシークエンスで解析すると自然なTregとFOXP3を強制発現した細胞とで発現に差のある遺伝子の断片が多く見つかる。