暇つぶしのお話9

「ハベリの奥さんのアイスは質素な生活に耐えてたわけ?」
「こちらは今でいう『理科系の女性』だったのでさほど不満を感じていませんでした。むしろ砂漠で見つかる巨大な骨や見たこともない虫を閉じ込めた石のほうに興味を持ちました。」
「おたくだね。」
「ただのおたくでなかったのはヒトを見る目があったことです。アリオリの国から流れてくる中小貴族の子弟を面接してはそれぞれ向いていそうな職に振り分けました。」
「全部が辺境開拓に行ったわけじゃないんだ。」
「見る目のある人間がいかないと未知の土地にある貴重なものを見つけられないからね。」
「いいもの見つけるひといたの?」
ラピスラズリやオニキスの原石はよく見つかりました。オニキスはよく磨いて自分の装飾品を作らせました。黒だとオンセに目をつけられないからです。」
「男の人はそういう細かいとこに目がいかないよね。とくに武闘派だと。」
「ハベリの国ではだんだん黒がシブイという価値観が広がっていきました。」