暇つぶしのお話7

「でもさ、ひとつの貴族だけが強くなってもそれで国が乱れるってことはないでしょ?」
「なんとなく不平等だなってみんなが思い始めると国の結束が悪くなるでしょ?」
「教室でえこひいきがあるみたいな感じね。」
「そうなんだ。だから王様とか王妃様というのはことさらバランスに気を配るべきなんだよ。」
「難しいんだね。」
「アリオリの国では要職がみんなキネントスの一族に独占されるようになっていきました。それで中小の貴族の子弟たちは『これじゃあ俺たちは干されるぞ』と不安を持ち始めました。」
「それでデモしちゃったりとか?」
「聖戦に行く先があれば十字軍に行くところですが、あいにく適当な敵国がなかったので行先は西方のハベリの国しかありませんでした。」
「受け入れてくれたのかしら?」
「人口の少ない辺境の国でしたからウェルカムでした。辺境派遣団のチーフに任命され、ますます西に領土を広げて行きました。」