効率を追及することの非効率

JB pressから 非効率に見える接客を続けるカメラ店の理由

接客をしていた店員、副店長代理の中野裕章さんに聞いてみた。「いつもあんなに時間をかけて接客しているんですか。一体、何をそんなに長々と説明していたんですか」

 中野さんの答えは以下のようなものだった。

 「接客の時間はお客様によって様々です。先ほどのお客様は、他店のチラシをご覧になっていて、お買いになりたい商品の目星は付いていたんです。でも、一眼レフカメラはまったく使われたことがないというので、一眼レフの基礎から説明していました」

 「買いたい商品が決まっているのなら、さっさとそれを売ればいいじゃないですか」

 「そうはいきません。納得しないで買っていただくわけにはいきません。納得して買っていただいて、きちんと使いこなして満足していただかないと困ります」

 一眼レフカメラの基礎知識だけではなく、家族の中で誰が使うのか、いつ、どんな場面で使うのかなどをヒアリングし、状況に応じた撮影の仕方も説明していたのだという。

 1時間半も「ど素人」を相手にし続けるなんて、まったく非効率にもほどがある。

 でも、おそらくその家族はリピーターになって、これからもずっとサトーカメラに通い続けることだろう。

先日のNHK特集のアレルギーの話でもしていたがアトピーの患者にステロイド軟こうを渡して「塗っといてください」ではだめで、どのくらいの量をいつ、どういうやり方で塗るかを一人一人丁寧に教えないとちゃんと治るまで使ってくれず「ステロイド怖い」だけの人が増えてしまう。治りきらないヒトを増やしているだけなので実は非常に非効率だ。理想は一人ひとりに十分な時間をかけることだ。でもそのためには人手がいる。うまく説明のできるナースや技師とチームをつくらないといい医療にならないだろう。