藤の木
「ドラッグストアの裏手に一軒家があっただろ?」
「そういえば古い家が建ってるね。あんな狭いとこに家って建ってたんだね。」
「気がつかなかっただろ?思い出してみるとあそこって藤の木の藪になってて小さな森みたいだったとこだよ。」
「そうだったんだ。藤が切られちゃったんだね。そうしてみると妙に殺風景だよね。」
「ベランダの格子のところに藤のつるが蒔きついて食い込んだのが切られて残ってるんだけど、鉄格子をつかんだ手が切られてくっついてるみたいだよ。」
「不気味な発想だね。つげ義春の「窓の手」みたいだな。」
- 作者: つげ義春
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/03/02
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 61回
- この商品を含むブログ (145件) を見る