藤の木

「ドラッグストアの裏手に一軒家があっただろ?」
「そういえば古い家が建ってるね。あんな狭いとこに家って建ってたんだね。」
「気がつかなかっただろ?思い出してみるとあそこって藤の木の藪になってて小さな森みたいだったとこだよ。」
「そうだったんだ。藤が切られちゃったんだね。そうしてみると妙に殺風景だよね。」
「ベランダの格子のところに藤のつるが蒔きついて食い込んだのが切られて残ってるんだけど、鉄格子をつかんだ手が切られてくっついてるみたいだよ。」
「不気味な発想だね。つげ義春の「窓の手」みたいだな。」

無能の人・日の戯れ (新潮文庫)

無能の人・日の戯れ (新潮文庫)

これに出てたような気もするが確かじゃない。