mTorが腎症の原因

糖尿病性腎症は免疫抑制剤のラパマイシンで抑制できる。ラパマイシンはmTorの阻害剤である。mTorはアミノ酸グルコースで活性化されるタンパク質リン酸化酵素だ。mTorの作用はsmallGタンパクのRhebにより調節される。RhebはGTP結合型が活性型でそれ自体はGTP分解酵素(GTPase)活性を持つのでGTPaseを活性化するものがあると作用がとまる。結節硬化症の遺伝子TSC1、TSC2はRhebを抑制する。TSC2がRhebのGTPase活性を高めるためだ。TSC1はTSC2を安定化する。TSC1をノックアウトするとRhebを抑えるものがなくなるのでブレーキの利かなくなったRhebがmTorを活性化しっぱなしになる。もしも糖尿病性腎症が腎臓でmTorが活性化するためなら腎臓でTSC1を働かなくすると血糖と関係なく腎症が出てくるだろう。実際そうだという。mTORC1 activation in podocytes is a critical step in the development of diabetic nephropathy in mice. Inoki K. et al. J Clin Invest 2011; 121:2181-2196