一人ぐらい信じてみたら

”会社も雇いやめになったので寮を出ないといけなくなった。”
”そりゃたいへんだな”
”もういい加減いやになった。こんどオオゴトを起こしてやる”
”おい、バカなこと言うな。アキバ事件みたいなの起こしたら破滅だぞ”
”そんなこといったってみんな口先だけだろう。いざとなったら助けになどならないんだ”
”大きな助けにはならんけど、そこにいてやることぐらいはできるぞ。○月○日○時に新宿駅南口に来い。オレは黄色いバンダナを巻いている”
”ほんとかよ、行ってみたらだれもいなくてただの雑踏だったらいいかげんヤになるぞ”
”オレを信じろ。世の中に一人ぐらいは物好きがいるさ”

指定の日に行ってみると黄色いバンダナ、ハンカチ、カレーで色をつけたような手ぬぐいを巻いている男女が山のように待っていた。
後の「黄巾族の乱」である。