遺伝性腎不全にmTor阻害薬が効くかもしれない？

常染色体優性多発のう胞腎（ADPKD）は腎臓や肝臓にのう胞が多発して最終的には腎不全になってしまう疾患だ。8月のNew Eng J MedでmTor阻害薬がADPKには効果がないと報告されたが、これに対しては異論があるようだ。疾患の程度が進んでしまうと薬の効果が出にくいのが常だ。Walzらのeverolimusの論文(Walz G, Budde K, Mannaa M, et al. Everolimus in patients with autosomal dominant polycystic kidney disease. N Engl J Med 2010;363:830-840)はステージの進んだ患者が多すぎで薬の効果を過小評価している可能性がある。Serraらのsirolimusの論文(Serra AL, Poster D, Kistler AD, et al. Sirolimus and kidney growth in autosomal dominant polycystic kidney disease. N Engl J Med 2010;363:820-829)は薬の量が最適量に満たない可能性がある。Grantham JJらからの手紙　New Eng J Med 2011; 364:286-289 ちなみにこのひとは大塚製薬からtolvaptan（バソプレシンＶ２受容体阻害薬：腹水やSIADHに効く可能性がある）のコンサルタント料をもらっているようだ。