みのまわり

「なぜあなたは身の回りのことをあまり書かないのですか?今日こんな仕事をしたとか、誰に会ったとか?」
「それは…だれでもいいかっこしたいじゃないですか?自分の身の回りのことを書くようになるとどうしても見栄が多くなってあとでいやになっちゃうから。それに本音をそのままかくと愚痴っぽくなったりするでしょ?匿名だと思ってもだいたいあの人か、と思われると内容によっては角がたつので書かないようにしているんです。」
「本とか音楽の紹介は見栄じゃないと?」
「まあ見栄もありますけど、自分の好きなもの、よかったなと思ったものは他人にも知ってほしいからです。たとえば今週のNAXOSおすすめのグレツキはよかったなとか。」
「なるほど、あまり細かい評論を入れてないのもその余力がないということですか。」
「本気で評論するとすると背景の知識が膨大にいるから疲れますよ。そこまで調べる気力がないので。」
「でもね、人間というのは他人の体温のわかるようなディティールを知りたいと思うものですよ。自分もだいたい人とおんなじだなと思うと安心するんですよ。それから自分の興味のある人のことを知りたいというのは本能みたいなものでね。」
「だからこそ自分もストーカーみたいにならないように抑制しないとね。」