繁栄(マット・リドリー)

「ゲノムが語る23の物語」などを書いている著者は生物学と文明批評を混ぜ合わせて書く。生物学的あるいは人類学的洞察から得られる法則が社会の発展の方向を指示するのではないかというのが基本的な立場。血縁関係にない赤の他人を信頼して交換(もの、技術、情報)を行うことが人類が他の生物やネアンデルタール人と異なり地球全体に広がる文明を作りえた理由だ、という説。現在は金融危機のあとで経済が不振となっているが、文明史的な大きな目で眺めると世界は着実によくなるほうへ向かっているという主張。世界を住みやすいところにするために何ができるか?を考えるのがいいね。どんなちいさなことでも。

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)

繁栄――明日を切り拓くための人類10万年史(上)