困ったら開けろ15

「何探してるの?」
「おやじさんのアルバムをね。」
「引越しのときに処分したかもね。」
「いや、たしかとっておいたはずだ。」
「何か調べたいことがあるの?」
「今日ね、化石の写真の仕事があったんだけど、どこかで見たような石だなーって思ったら、昔のおやじの事務所にそんな石が飾ってあったような気がしてね。」
「へー?そんなのあったかしら?事務所の写真って残ってる?」
「うん、どっかにあると思う。石まで写ってるか分からないけどね。ところでPRAWNと書いてある質屋に間違って入った話聞いただろ?あのとき変なエビみたいな模様の石があるのを縁起がいいからって買ってきたって言ってたんだ。」
「そんな趣味あったんだ。」
「あの変わり者のおやじのことだからね。その話は受験の時に『人生は一度しかない。偶然の出会いでも大事にしろ』というネタで話したんだと思うんだな。真正面からは言わないけど『お前が本当に好きならK大学じゃなくて美術系でもいいぞ』っていうつもりだったのかもね。」
「ほんとに、素直に言えばいいのにね。」