困ったら開けろ9

「おやじこれで何を撮ってたのかな?」
「メモリカードは空みたいね。」
「あれ?本体のメモリのほうに何か動画が入っているぞ。テレビにつないでみようか?」
接続する音…
「空だね。飛行機雲?」
「部屋のなかに移ったぞ。壁に向かって…カメラを棚に置いたんだな。おやじが写っているな。自分を撮ってるんだ。」
「何か言うよ。なんだろ?ボリュームあげて。」
”ひさしぶりだな。元気にしているか?根岸の主人は父ちゃんの大学の後輩だから懇意にしていたんだ。何か困ったことがあったら相談してみるといいよ。世代の違うものの意見も時には役に立つもんだ。お前たちもそのうちわかると思うよ。それじゃまたな。”
「”またなって”なんだよ?他にもどこかにビデオレターがあるっていう謎かい?」
「なんだろねー。でもよく見るとこの動画自体ちょっと妙よね。」
「何が?」
「ちょっと戻して。ここにカレンダーが写ってるでしょ?よく見るとこの日付が2017年10月になってるのよ。」
「なんだって?未来のカレンダーをわざわざ写真まで入れて作ったのか?なんでそんなことするんだろ?」
「この日付に何かイベントが起こるっていうメッセージかしら?」