困ったら開けろ7

「おやじから預かったものって?」
「少しお待ちください。」
「なんだろね?」
「さあー?お宝を隠した地図とかじゃないよね?」
「お待たせしました。こちらです。」
「あれっ?これD-9000ですね、銀塩カメラじゃなくてデジタルなんだ。」
「実際に作品を作るものとコレクションとして楽しむものは分けて考えていらっしゃいました。」
「なぜこれをお宅に?」
「『しばらく忙しくてこいつをかまってやれないから保管しておいてもらえないか』とおっしゃっていました。考えてみるとそのころからご病気だったのでしょうね。」
「そうですか。下手に手元においておくと借金の清算のためにとられる恐れがあるので頼んだのでしょうね。思い入れがあるんだろうな。形見として私が使わせてもらうことにしますよ。」
「そういえばいつか、息子さんが造形学科にはいったんだ、って喜んでいらっしゃいました。」
「残念ながらまだクリエーターとして芽が出ないのでアルバイトの身ですけどね。」
「いえいえこれからですよ。いつか作品を楽しみにしていますよ。」