トリシュナとクリシュナ

NHKの海外ドキュメンタリーでオーストラリアの国立子供病院で手術を受けたバングラデシュの双子の女のこの話をやっていた。頭部が結合した状態で生まれてきた子供たちで、現地でボランティアをしていたオーストラリアの女性が活動してバングラデシュの実業家の援助でオーストラリアで手術を受けられることになった。技術的にはハードルが高い。二人の脳の静脈が一部つながっているため、まず静脈を分ける仕事から入る。2年の間に複数回に分けて手術をしてなんとか静脈を分離することに成功。脳がくっつかないように間にシリコンのシートを入れる。次に頭蓋骨を分離すると頭部に大きな穴があいてしまうので、この部分をふさぐための皮膚を作る必要が出てくる。このため頭部の皮下にシリコンの袋を埋め込み、食塩水をいれて徐々に皮膚を膨らませる作業にはいる。一見どうということなさそうなことだが、皮下に異物を埋め込むので感染の問題が起こる。実際一度敗血症を起こして死にそうになる。そのたびにICUに入院して気が気ではない。この子たちの親代わりを務めたのがオーストラリアの一人の女性で、ずっと対応するので手術や感染症のたびに心配するはめになる。やっとやり直しの頭の皮膚伸ばしも終わり、3年ごしで二人の分離に挑戦。ところが予想外のところに別の静脈が見つかりこれの処理に難渋。32時間かけてやっと成功。ところがトリシュナ(私の記憶違いでクリシュナのほうだった)の方がなかなか目が覚めない。MRIでは脳に異常はないのだが。4日目にやっと眼があいて無事と判明。そんなこんなで結局最後まで見てしまった。この手術にはおそらく全体で1-2億はかかっているだろうな。それでも人心に訴える効果は大きい。どこかで偽善のにおいがするなんていう声にはちょっと黙っておいてもらおう。ODAで何100億支出するよりも国家イメージに与える効果は大きいかもしれない。オーストラリア人がそんな計算ずくで動いていないと信じたいものだ。