ひとつのアイデアを展開させる限界

Huang S., Yuan S. et al. Genomic analysis of the immune gene repertoire of amphioxus reveals extraordinary innate complexity and diversity. Genome Res 2008; 18: 1112-1126
メクラウナギ(amphioxus)は脊椎動物の系統につながるもっとも原始的な脊索動物だ。体細胞遺伝子組み換えにもとづく適応免疫は脊椎動物で発達しているが、このシステムが完成する前の自然免疫の最後の到達点がメクラウナギに示されている。自然免疫はパターン認識受容体のToll-like受容体(TLR)、NOD/NALP-like受容体(NLR)、スカベンジャー受容体(SR)、補体系がある。メクラウナギの遺伝子全体(ゲノム)を解読して自然免疫に関係する遺伝子が何個あるか調べた。ちなみにムラサキウニではTLRが222個、NLRが203個、SRが218個ある。メクラウナギのゲノムではTLRが71個、NLRが118個、SRが270個あった。TLRやNLRはアミノ酸のロイシンの多い配列が繰り返すleucine rich repeat (LRR)が特徴だが、LRRを含む配列が1363個見つかった。補体のC1qに似たものが75個、糖鎖を認識する分子のficolin様の遺伝子が98個見つかった。多様性は受容体のみにとどまらずその下流にシグナルを伝達する分子にも及んだ。TIRアダプター様遺伝子が58個、TRAF様遺伝子が36個、カスパーゼ様遺伝子が44個、DEATHドメインを持つタンパク質の遺伝子が541個あった。