FOXO1のアセチル化とリン酸化は独立に作用する

Qiang L., Banks A., Accili D. Uncoupling oacetylation from phosphorylation regulates Foxo1 function independent of its subcellular localization. J Biol Chem 2010; 285: 27396-27401
FOXO1は線虫の寿命を延ばす遺伝子DAF16と相同の遺伝子である。FOXO1のアセチル化を受けるリジン(K)を変異させた変異体をつくった。グルタミン(Q)はアセチル化されたリジンに似ており、アルギニン(R)はリジンと同じ酵素ではアセチル化されない(アセチル化酵素が異なる)。FOXO1はAkt1キナーゼにリン酸化を受けると核の外に輸送される。リン酸化されないFOXO1変異体は核にとどまるが、このリジンをQにする(KQ)と核の外へ輸送される。逆にリジンをRにする(KR)と核にとどまる。ではリン酸化されない変異体をさらにKQにするとどうかというと核の外に出るのである。つまりFOXO1のリン酸化とアセチル化は独立に核の内外の輸送に影響しているようだ。アセチル化の違いは幾分リン酸化にも影響を与えていてKQ変異体はリン酸化されやすく、KR変異体はリン酸化されにくい。過酸化水素は酸化ストレスを生じ、FOXO1のリン酸化を低下させる。レスベラトロールはこの過酸化水素のリン酸化FOXO1減少を阻害する。レスベラトロールはそれのみで直接、Aktを活性化したり脱リン酸化酵素を阻害したりはしないようだ。レスベラトロールインスリンによるFOXO1の核外輸送を阻害するが、KQおよびKR変異体ではレスベラトロールをかけてもインスリンにより核外に移動する。このへんがしっくりしないところだが、レスベラトロールのの作用は必ずしもSirt1に依存していない。