あれどうなった?

「このまえ電話きたの1週間前だったでしょ?」
「ああーそうだったかな。もう1週間たったっけ?」
「結果がどうだったか聞いてみたら?」
「何の結果?」
「やあねえ、追加の検査の結果でしょ?」
「ああ、そういえばそんなこと言ってたな。」
「関心の低い証拠よ。」
「いや、そんなわけじゃないんだけれど。」
「けど、何なのよ。」
量子力学じゃないけれど、結果を見るまではいい結果と悪い結果が50%ずつ入り混じって混合した状態なのが、結果を見たとたんに一つの結果に収束する、という感じがして、ひるんじゃうんだよ。」
「何言ってるの。この世が平行世界だったら、いいほうだけ選んでサーフィンするつもりで行けばいいのよ。」
「PKディックの”ゴールデンマン”みたいだな。でもゴールデンマンは目端がきいて見栄えがいいだけで中身は空っぽなんだけどな。」
「世の中結局みかけで勝負でしょ?」
「同じ表面だけの存在だとしても、その表面が大脳のシワとか、ミトコンドリアの内膜みたいに複雑に入り組んでいるほうがいいな。」
「そんなこといってるから、シワの影にかくれた”あれ”がどっかいっちゃうのよ。」