天水

独特な平安朝の陰陽士の世界を描く花輪和一の作品。ドロドロ感を和らげるためか童女とカッパさんを主人公にすえてお話をつくっている。最後のほうで荒れる子供の家庭内暴力の原因が祖先の代から家に伝わってきた欺瞞のためだ、とかいう話になっていくのはアフタヌーンという部数の多い雑誌に載っていたためだろうな。この人の話はもともとそのような理窟のつけられないアナーキーさが特徴だと思う。それはともかく寡作の作家の作品がまとまって読めるのはありがたい。

天水 完全版 (講談社漫画文庫)

天水 完全版 (講談社漫画文庫)