ルネサンスつくります

ルネサンスつくります」という広告が出ていたので問い合わせてみた。
「広告見たんですけど」
「ありがとうございます。わが社では真のルネサンスを再現します。」
「その方法とは?」
「まず人口の1/3が死亡する疫病を広めます。」
「はあ??」
「中世のルネサンスは元による東西交流で中国から持ち込まれたペストで人口が激減したことに端を発しています。」
「そうなんですか?」
「例えばイタリアのルネサンス絵画の走りのジオットの描く人の顔を見ると切れ長の眼で中国人みたいですよ。中国の絵画がイタリアに影響した結果と思われます。」

世界美術全集〈1〉ジオット (1979年)

世界美術全集〈1〉ジオット (1979年)

「それと疫病と何の関係が?」
「伝統を守ることはどの社会でも重要視されています。とくに先輩がたくさんいる社会ではそうですよね?根源的理由は不明だけど前からこうだった、というようなことって多くないですか?あえてそれを変えたいという人も少ないですよね。」
「それもそうですね。」
「多くの人が亡くなったあと、生き残った人は『神に選ばれたのだ』という感覚を持ってもおかしくないです。実際には免疫系の優秀さと偶然で生き残ったのに過ぎなくても、何か全てにわたって正しい行いをしてきたかのような自信を持ちます。」
「そうかもしれない。」
「そうすると、新しい感覚や外来のシステムを取り込むことに抵抗がなくなるんですよ。」
「たしかにそうだね。」
「それともう一つあります。資源の問題です。たくさんの人が亡くなると住宅や金銭がたくさん残りますよね?それに労働者が減るので賃金も上昇します。」
「貧しい人が少なくなるということ?」
「そうです。一時的に生産も減りますが、余った資源を利用したイノベーションがあればじきに生産も回復しますし、何よりやったこと無いことにも余裕をもって投資する可能性が出てきます。」
「じゃあためしにうちの会社だけでもルネサンスしてもらえませんか?」