制御性T細胞とバルプロ酸

Fayyad-Kazan H., Rouas R. et al. Valproate treatment of human cord blood CD4-positive effector T cells confers on them the molecular profile (micro RNA signature and FOXP3 expression) of natural regulatory CD4-positive cells through inhibition of histone deacetylase. J. Biol. Chem. 2010;285: 20481-20491
制御性T細胞(Treg)は余計な免疫反応を抑制する。FOXP3はTregに必須の因子である。ヒストンのアセチル化はヒストンへDNAがかたく巻きつくのを抑えて転写因子が結合しやすくする。逆にヒストン脱アセチル化酵素(HDAT)は転写を抑制する。てんかんの薬でもあるバルプロ酸デパケン)はHDATの抑制作用も持っている。バルプロ酸はヒストンH4のリジンのアセチル化を増やす。これによりEts-1、Ets-2のFOXP3上流への結合しやすくなり、その発現が増える。Tリンパ球がTregであることのサインの一つはmiRNAのmiR-21とmiR-31だが、Etsの作用でこれらのmiRNAの発現が変わることによってFOXP3の発現が増えるらしい。
しかしバルプロ酸を飲んでいるからアレルギーや自己免疫疾患が少ないという話は聞いたことが無いな。誰も調べたことがないからか?