経路

小川のほとりで糸のついてない釣りざおをてにしてぼーっとしている人がいた。
「いい天気ですね。何してるんですか?」
「管制しているんじゃよ。」
「は?なにを完成するんですか?」
「人の運命の経路をね、お互い衝突しないように指示しているわけじゃ。」
「あー、飛行機の管制と同じやつですか?人の運命がみえるんですか?」
「そうじゃな、およそ10年前のあの事件は忘れられんよ。小さな証券会社が墜落しそうになって緊急着陸させるときに管制官が誤って誘導したのじゃ。それで片肺でやっと飛んでいた別の大きな会社にぶつかってこっちも墜落じゃった。飛び散った破片があたって北海道の大きな会社まで墜落しおった。」
「おっかないですね。」
「それでも昔は入社年次とか、誰のラインか、とかでだいたいのコースも決まっていたので管制もやりやすかったのじゃが、最近は規制緩和で交通量が増えててんてこ舞いじゃ。なんか大きな事故がなきゃいいがのー。」
「お仕事中失礼しました。」