インスリンデテミルは食欲を増加させにくい?

インスリンデテミル(レベミル)は脂肪酸で修飾されたインスリンで血中のアルブミンに結合してゆっくり放出されるため安定して長い効果を発現し、効果のばらつきがヒトインスリンより少ない。デテミルは中枢にも作用を現して食欲を減退させ体重増加が少ないのではないかといわれている。15人の男性ボランティアにインスリンを90分静脈注射し、脳波で前頭葉脳の活動(EEG direct current potential)を調べた。停止してから20分後にビュッフェで自由に食事をしてもらい、そのカロリーを調べた。同じ被験者が2種類のインスリンで同様の検査を受けた。静脈注射されるインスリンは最初にある量を一まとめに注射し、以後90分は一定量で続けた。ヒトインスリンでは最初に17.75mU/kgでその後1mU/kg/min、デテミルでは最初に90mU/kg、以後2mU/kg/minであった。デテミルの量が多いのはアルブミンに吸着して作用発現が遅いためである。静脈注射中に血糖を維持するために必要なグルコース量はヒトインスリンとデテミルで差がなく、血糖に対しては同じ作用を現した。脳波で見た活動はデテミルでは注射開始後21-90分で平均−372μVと低下し、ヒトインスリンでは146.5μVで変化しなかった。検査後の食事量はデテミルでは303kcal少なかった。
Hallschmid M, Jauch-Chara K et al. Euglcemic infusion of insulin detemir compared with human insulin appears to increase direct current brain potential response and reduces food intake while inducing similar systemic effects. Diabetes 2010;59:1101-1107
脳波でみた活動がどの程度食欲と関連しているのかこの情報だけでは不明。後で調べてみよう。デテミルには中枢への作用もあるといわれていたのは本当らしいが、影響は食欲だけなのかしら?(他の欲望にも影響?)