二つのチロシンホスファターゼが視床下部で反対の効果


食欲をコントロールするproopiomelanocortin(POMC)ニューロンチロシンホスファターゼの作用を調べた。PTP1BとSHP2をそれぞれPOMCニューロンで特異的に欠失させたマウスをつくった。PTP1BをPOMCニューロンで欠失したマウスPOMC-PTP1B-/-は肥満しにくくインスリン感受性が良い。脂肪から分泌されるホルモンで肥満を抑制するレプチンの効果も良く出る。エネルギーの消費も多くなる。一方SHP2をPOMCニューロンで欠失したマウスPOMC-SHP-/-は肥満しやすく、レプチン抵抗性で、肥満に伴い耐糖能異常が現れた。このマウスの視床下部では食欲を抑えるペプチドであるPOMCとαMSHの量が減少していた。
Banno R, Zimmer D et al. PTP1B and SHP2 in POMC neurons receirocally regulate energy balance in mice. J Clin Invest 2010;120:720-723