筋肉の廃用性萎縮とオートファジー

使わない筋肉のタンパクは他の目的に利用されてしまう。オートファジーによって不要の筋肉タンパクはアミノ酸に分解される。オートファジーの調節は寝た切りによる筋肉の委縮を予防する方法の発見につながる可能性がある。また脳内の不要タンパクの蓄積は通常オートファジーによって処理されていて、これが障害されるとアルツハイマー病、パーキンソン病の原因となる。根治不能の病態に手をつけられる可能性がみんなが興味を持つ理由だ。"disuse atrophy and autophagy"でPubMedを検索してみると8個論文がある。そのひとつを読む。
Wang X. et al. Runx1 prevents wasting, myofibrillar disorganization, and autophagy of skeletal muscle. Genes Dev 19(14):1715-22, 2005 神経を切断された筋肉は萎縮してしまう。転写因子のRunx1は正常の筋肉には発現が低いが、神経を切断された筋肉では強く誘導される。この転写因子はイオンチャンネルを含む29個の遺伝子の発現を調節している。電気的な活動性は筋肉の委縮を調整しているらしい。Runx1を筋肉で選択的に発現できなくしたマウスでは神経切断による筋肉萎縮がひどくなる。