竜との旅

迷子の竜の子を拾ったのは旅に出かけたまさにその日のことだった。いったん戻って動物保護センターに預けてきてもよかったのだが旅の出鼻をくじかれるのがいやでついそのまま連れてきてしまった。検疫は通過できそうにないが今回は国内旅行だからいいだろう。見たところ病気はなさそうだし、デイパックの水筒入れに収めた筒から頭を出しておとなしくしている。ごはんは道々バッタか芋虫、クモを探して与えている。好みとしてはクモが好きなようだ。もう少し大きくなるとトカゲか蛇、ネズミを与えないといけなくなる。次の町に着くころには冷凍のネズミが手に入るだろう。ネコとかフクロウもそうだが、肉食の動物は頭がよさそうで人間に通じるものがある。獲物である相手の行動を読んで狩りの計画を立てないといけないので「他人」の心と行動を予測する素養が備わっているのだろう。