人海老姫

甲殻類のお姫様が人間の王子に恋をした。魔法使いの手助けで人型に変えてもらったが外骨格は変わらない。夏祭りで女の子が買うお面のような顔はアニメの主人公みたいで目がかわいいが表情が変わらない。微妙な表情の変化を見せるために日本の能役者の動きを習って表を照らしたり曇らせたりする技を覚えた。王子様と舞踏会で踊っても相手は仮面舞踏会と錯覚してお面の裏はどんな美女かしらと錯覚する。名残惜しそうなしぐさを見せながら逃げるように海に帰ると脱皮の時期が迫っていた。一回り大きく成長した彼女はひと夏だけだった人間型の外骨格を大切に思い出にとっておいた。異教徒は天国にいけないので泡と消えました、という結末は人魚姫のお話し。人海老姫は一味違った結末。